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空間トランスクリプトーム解析における強力なプラットフォームの 1 つに、illumina シークエンシングの組み合わせた 10x Genomics
Visium が挙げられます。10x visium の原理は、組織切片が置かれるキャプチャー領域が指定された特殊なチップにあります。このキャプチャー領域には、バーコード化されたスポットがあり、それぞれが組織内の固有の空間位置に対応しています。組織からキャプチャーされた
RNA 分子は、逆転写の過程で、固有の分子識別子(UMA)で標識されます。これらのバーコード化スポットと UMI は、シングルセル分解能で遺伝子発現の正確な空間マッピングと定量化を可能にします。空間的にバーコード化されたサンプルと
UMI の組み合わせにより、生成されるデータの精度と特異性が保証されます。
◆サービスの概要
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【技術概要】
【特徴】
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解像度:100μM |
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スポット径:55μM |
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スポット数:約 4492 個 |
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キャプチャー領域:6.5mm×6.5mm |
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各バーコードビーズには、以下の 4 つのセクションで構成されたプライマーを搭載:
-mRNA プライミングおよび cDNA 合成のための poly(dT)テール
-増幅バイアスを補正するための Unique Molecular Identifier (UMI)
-空間バーコード
-部分的な Read1 のシークエンシングプライマーの結合配列 |
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切片の H&E 染色 |
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【10x Genomics Visium の特長】
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・ワンストップサービス:
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凍結切片作成、染色、組織最適化、空間バーコーディング、ライブラリー調製、シークエンシング、バイオインフォマティクスなど、経験とスキルに基づくすべてのステップを統合します。 |
・高度なスキルを持つ技術チーム:
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ヒト、マウス、哺乳類、魚類、植物など、250 種類以上の組織タイプと 100 以上の生物種の経験があります。 |
・プロジェクト全体のリアルタイム更新:
・包括的なバイオインフォマティクスとユーザーフレンドリーな結果の視覚化:
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解析サービスパッケージには、29 の分析と 100 を超える高品質の図が含まれています。 |
・カスタマイズデータ解析と視覚化:
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【サービスの仕様】
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必要サンプル条件 |
QCT 包埋クライオサンプル、FFPE サンプル(最適径:約 6×6×6 mm3)
サンプルあたり 3 ブロック |
ライブラリー |
10x Visium cDNA ライブラリー |
シークエンス条件 |
illumina PE150 |
推奨データ量 |
スポットあたり 50K PE reads (60Gb) |
サンプルQC |
RIN>7 |
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【ワークフロー】
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サンプル調製段階では、高品質の RNA を確実に得られる様、最初のバルク RNA 抽出試験が行われます。組織最適化段階では、切片を染色して可視化し、組織から
mRNA を放出するための透過条件も最適化します。最適化されたプロトコールによりライブラリーを作製し、その後、シークエンシングとデータ解析が行われます。
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◆バイオインフォマティクス解析
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本サービスには、以下の解析が含まれています。
・データ品質管理
データ出力と品質スコアの分布
スポットあたりの遺伝子検出
組織カバー率
・サンプル内分析
遺伝子の豊富さ
スポットクラスタリング(次元削減分析を含む)
クラスター間の発現差解析:マーカー遺伝子の同定
マーカー遺伝子の機能アノテーションとエンリッチメント
・グループ間分析
両サンプル(例:疾患とコントロール)由来のスポットを組み合わせて、再クラスター化
各クラスターのマーカー遺伝子の同定
マーカー遺伝子の機能アノテーションとエンリッチメント
同じクラスターのグループ間発現変動 |
◆解析結果例
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<サンプル内分析>
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スポットクラスタリング:

マーカー遺伝子の同定と空間分布


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<グループ間分析>
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両グループのデータの組み合わせと再クラスタリング

新規クラスターのマーカー遺伝子

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【参考文献】
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10x Visium による BMKGene の空間トランスクリプトミクスサービスがもたらす進歩を、以下の特集記事でご覧ください。
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Chen,
D. et al. (2023) ‘mthl1, a potential Drosophila homologue of mammalian adhesion
GPCRs, is involved in antitumor reactions to injected oncogenic cells in
flies’, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of
America, 120(30), p. e2303462120. doi: /10.1073/pnas.2303462120
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Chen,
Y. et al. (2023) ‘STEEL enables high-resolution delineation of spatiotemporal
transcriptomic data’, Briefings in Bioinformatics, 24(2), pp. 1–10. doi:
10.1093/BIB/BBAD068.
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Liu,
C. et al. (2022) ‘A spatiotemporal atlas of organogenesis in the development of
orchid flowers’, Nucleic Acids Research, 50(17), pp. 9724–9737. doi:
10.1093/NAR/GKAC773.
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Wang,
J. et al. (2023) ‘Integrating Spatial Transcriptomics and Single-nucleus RNA
Sequencing Reveals the Potential Therapeutic Strategies for Uterine Leiomyoma’,
International Journal of Biological Sciences, 19(8), pp. 2515–2530. doi:
10.7150/IJBS.83510.
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